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まず「和」の定義をブランド語に翻訳する
「和風=古風」ではありません。あなたのブランドの「和」は、静謐、凛、粋、温もり…どれを指すのかを最初に言語化しましょう。言葉で針路を定めれば、筆致・余白・色・素材の解像度が一気に上がり、狙い通りの印象に近づきます。
書体選定:楷・行・草と筆圧の設計
楷書は秩序と格式、行書は躍動と親しみ、草書は個性と余韻を強く伝えます。筆圧のメリハリ(入り・溜め・抜き)や払いの長さをブランドの口調に合わせて設計すると、読みやすさと独自性のバランスが取れます。

余白と余韻:間(ま)が高級感をつくる
文字の造形だけでなく「置き方」が印象を支配します。天地左右の当て方、行間、字間を大胆に取り、あえて“間”を残すと、上質感と呼吸感が生まれます。看板や暖簾では、視認距離に応じて余白比率を変えると効果的です。
墨の表情と質感の再現(デジタル×アナログ)
かすれ、にじみ、濃淡は和のニュアンスを決める重要要素。アナログ原稿の高解像度スキャン+ベクタライズで輪郭の美しさと質感の両立を図りましょう。印刷用は網点再現、デジタル用はスクリーン表示でのコントラスト最適化を別設計に。
併記書体・英字との相性設計
ローマ字や英語タグラインを併記する場合、直線的で無機のサンセリフに寄せると品が出ます。和文は筆の有機性、欧文は幾何の秩序と役割分担することで、視認性と国際感覚を同時に満たせます。
用途別の運用設計(看板/パッケージ/ウェブ)
看板は遠視認のため太め・簡潔、パッケージは質感重視で微細なかすれを活かす、ウェブは小サイズでも潰れない最小画素幅を設定。FaviconやSNSアイコン用に、一文字抜き出しのモノグラム版を用意すると運用が格段に楽になります。

色と素材:墨一色でも広がる表現
黒=K100だけに固定せず、深緑や濃紺に僅かに振ると、品と差別化が生まれます。和紙・木・布などの素材写真と合わせる際は、文字の明度・太さを素材のテクスチャに合わせて微調整し、沈み込みを防ぎます。
ガイドラインとデータ仕様で再現性を担保
最小使用サイズ、保護空間、配色、禁止例、書体の併記ルールをA4数枚に整理。入稿用(AI/PDF)と運用用(SVG/PNG/WEBP)をセット化し、看板業者やWeb担当が迷わない状態をつくることがブランド統制の近道です。
制作プロセスのポイント(依頼者側の準備)
競合比較、使い方の優先順位、言語化した「和のトーン」を事前共有。初稿では大胆、二稿では読みやすさ、三稿で運用性…と評価軸を段階化すると、最短距離で完成度が上がります。
チェックリスト
• 読めるか:初見で正しく読めるか、誤読が起きないか
• 遠目の視認性:3〜5m離れても形が立つか(看板想定)
• 縮小耐性:16px相当でも潰れない線幅か(アイコン想定)
• 反転耐性:白抜き・単色使用でも表情が保てるか
• 多言語併記:英字・仮名と組んだ時にリズムが崩れないか
• 素材適正:木・布・和紙・金属など異素材での再現性
• 動きへの応答:動画・アニメーションでの展開余地があるか
• 権利面:商標登録の可能性・既存と紛らわしくないか
まとめ
和風筆文字ロゴは、造形の美しさだけでなく、運用まで見据えた“設計”がブランド価値を底上げします。狙うトーンを言語化し、書体・余白・質感・併記・用途設計をひとつのストーリーで束ねることが成功の鍵です。
IRENでは、筆の躍動とデジタル再現性を両立したロゴ設計を行い、看板からWebまで一貫運用できるデータセットとガイドラインをご提供します。まずは貴社の“和”の定義からご相談ください。